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第68話

 壁に押し付けられ息もできないくらいの激しいキス。  だけど熱すぎるそれは気持ちよくて、俺の身体は素直に反応して、そして必死で舌を動かす。 「……は…っ」  キスの合間はほんの一瞬しかない。  頭は痺れるように熱を帯びて、ただ俺が求めるのは優斗さんだけだ。 「……ン」  びくり、と身体が跳ねる。  服の中に滑り込んできた手が肌を撫でる。  たったそれだけなのにむず痒いような快感が走ってくらくらしてしまう。  腹のあたりを這って上にあがっていく手が胸の突起を弄ってきてびくびく身体が震えた。  俺の息子はもうガチガチに硬くなってしまってるのはわかってた。  終わりそうにないキスは激しいまま続いてて、胸にあった手は今度は下に降りていく。  その手があっさりズボンの中にまで入ってって俺のに触れる。 「……元気だね」  離れていった唇が少し笑って掠れた声で囁いてくる。  俺が口を開こうとしたらまた塞がれて舌が這いまわってきて。  優斗さんの手は直に俺の息子を擦りあげてくる。  ぬるっとした感触に、だらだらと先走りが溢れてるのを実感してさらに身体が疼いた。  優斗さんの指が絡みついて上下して刺激が身体中に走り抜ける。  めちゃくちゃ気持ちいい。  だけど―― 「……ちょっ、ま……、ゆ、とさんっ」 俺は必死に声を絞り出した。  荒く熱い呼吸を繰り返して優斗さんを見る。  優斗さんも少し乱れた息を吐きながら、普段の優しい雰囲気とは違う淫欲に染まった目で俺を見つめた。 「なに?」 「ここ……玄関っ」  まさかと思うけど、なんかこのままここでっていう気もしてちょっと焦った。  だけど優斗さんは目を細めてまたキスできるくらいに顔を近づける。 「大丈夫だよ。このマンション防音しっかりしてるから。捺くんの可愛い声は外には聞こえないよ」  俺だけにしか――、って優斗さんは笑いながらきつく俺の息子を握ってきて。  俺は耐えきれずに優斗さんにしがみついた。  あっという間に射精感が込み上げてくる。  今日はもう何回目かもわからない――絶頂感。  キスが首筋に落ちてきて、肌を吸う感触に俺はしがみついてた手に力を込めて、また言った。 「優斗さん…っ、ちょ、待って」  出来るならこのまま欲を吐き出しちまいたいし、最後までだってシたい。  でも……。 「なに……?」 「あ……あの、俺っ、昨日風呂入り忘れて……だから、先にシャワー浴びたいっ」  ほんとは、昼出かける前に智紀さんのところでシャワー借りてきた。  けど――オフィスでシてからはそのままだし。  智紀さんの香水の香りが気になって、しかたなかった。  優斗さんは俺に密着したままの状態で俺の息子を撫でるようにしながら首を傾げる。 「俺は気にしないけど……。一緒に入る?」 「……え、っと……今日はとりあえず一人で!」 「とりあえず?」  ぎゃー!  俺なに言ってんだよ!  馬鹿じゃねーのと、自分に突っ込みながら顔が赤くなるのを感じた。 「え、いや……そのあとで……入ることがあったらそのときは一緒で……」 「ああ……そうだね」  優斗さんがからかうように、だけど熱っぽい目で笑う。 「これから汗とかで身体べたべたになるかもしれないしね?」  うああ! なんか俺、超恥ずかしいんだけど!!  いやでも、うん……。  一か月前までは風呂だって一緒入ったりしてたし、だから別にそんな変なこと言ったわけじゃねーんだけど。 「じゃあお風呂前に……もう一回キスしていいかな」  自分の馬鹿さにうだうだしてると目を覗きこまれて、囁かれる。 「……うん……っ、ン……っ」  ――やっぱもう風呂なんかどうでもいいかもしれない。  って思うくらいに気持ちよくて、このままキスを続けたくなった。  だけど少しして優斗さんの唇と、そして俺のを扱いていた手は離れていって。  俺の先走りで濡れた指を舐めながら優斗さんは柔らかく微笑んだ。 「着替えは持っていってあげるから、入っておいで」 「……は……い」  自分が言ったんだけど、治まりきれない身体の高ぶりに内心ため息をつきながらバスルームに向かった。

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