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第71話

 え……?  な、なんで?  俺の上に優斗さんがいて、ゆっくりその顔が近づいてきて首筋に埋まる。 『なーつ?』 「……へっ!? あ、あのっ」  めちゃくちゃ声が裏返った。  だって、だって――……なんで、いまこんな状況になってんのかわかんねー。  俺が電話してるってわかってんのに、なんで……。 『――……もしかして、始まっちゃった?』 「……はぁ?! なにが……、ッ」  首筋を這う舌。  そしてシャツの中に入り込んでくる手。  優斗さんの髪から落ちてくる水滴がシャツに染みていく。 「……っ、ゆ、優斗さんっ」  スマホを少し離して、俺は小さく呼びかけながら優斗さんの肩に手を置いた。  ちらり視線を上げた優斗さんは「なに」って目を細める。  なに、ってなに!?  優斗さんがなに考えてんのかまじでわかんねー。  混乱する俺に優斗さんは、 「俺のことは気にしないでいいよ」  なんて言って、手を動かしだす。  シャツをめくりあげられてむき出しになった肌にキスが落ちてくる。 「……っ……」 『なーつ。俺のこと忘れてない?』  ケータイから智紀さんの声がして、ハッとする。  いまはとにかく電話を切らねーと。 「あの、切……」 『始まったんなら、俺も混ぜてよ。電話参戦? 捺の手、俺の代わりに動かして』 「……な……っ」  あ、ありえねーだろ!  もう無理無理!!!  智紀さんには悪いけど、勝手に電話を切ってしまおう、って通話を終了させるためにボタンに手をかけた。  なのに――。 「……な、んで……ンっ」  優斗さんの手が、俺のケータイを取って、そして胸の突起に軽く歯を立ててきた。 「……ひ…っ、……く」  声が出そうになって慌てて唇を噛みしめる。  ざらついた舌で舐め上げられて吸われて、身体がのけぞってしまう。 『もしもーし。なーつ? いま何されてる? もう答える余裕もない?』  スマホから、智紀さんの声が響く。  優斗さんの手にあるスマホ。  俺に聞こえるってことは――優斗さんにも聞こえてるってことだ。 「ゆ、ゆうとさ、ん」  なんかっつーか、絶対おかしい空気。  俺は必死で優斗さんの肩を押して、智紀さんに聞こえてるだろうってことにかまわず声をかけた。  優斗さんは顔を上げて、今度は……キスしてくる。 「……っん…ぅ」  這いまわる舌の熱さに反応してしまう。  変だ、やばいって思ってんのに、絡まってくる舌が気持ちいいと思ってしまう。 「……言ってあげれば?」  唇が離れていって、そう優斗さんは言った。  そしてケータイが俺の手に戻される。そのまま優斗さんの手は重なってて耳に押し当てられる。 「……な……に」 『キス、してた?』  甘い声が響いて、身体がびくつく。 「いま何してるか言ってあげれば。――キスして、それで、俺がこうして触ってるって」  俺の唇に触れた優斗さんの指が首筋におりて、身体に移動していく。 「……なん、で」 『――お許し出てるんだからいいんじゃないの』  戸惑う俺に、智紀さんのふっと笑う声。 「っん、や……っ、やめっ」  肌を這っていた優斗さんの舌がさらに移動して、俺の下半身へと降りていく。  そして――こんな状況なのに勃ってしまってる俺の息子が舐められた。 『どうかした? 捺の硬くなったの触られてる?』 「……ち、が……っ」  違わない、けど、言えるはずない。 「……優斗さ…んっ」  いやだって逃げようとするけど腰を抱えられて、舐め上げられるたびにびくついて逃げきれない。 『なーつ、なにされてるのか教えてよ』 「……む、りっ……ン」 「……言ってあげなよ」  俺の息子から舌を離し、優斗さんが俺をまっすぐ見てくる。  微笑む優斗さんがなにを考えてそんなこと言ってるのか、わからない、理解できない。 「……だって……」  セックスしてるって、言ってどうすんだよ。  何のプレイだよ……っ。  そう思う、けど、優斗さんの目が俺を促すように見つめてるから頭ん中がパニクってぐちゃぐちゃになってくる。 『しょうがないなぁ、捺は。じゃあ俺の代わりに捺の、自分で触ってみてよ――』 「む――……ッ」  無理、って言いかけた言葉は止められる。  優斗さんが俺の空いた手を取って、そして俺の硬くなった息子に触れさせる。  熱く硬くなった俺のは先走りで濡れてた。 「い、や……だっ」  絶対おかしい。  なんで、なんで、なんでだよっ。 『触った? ちゃんと動かしてね。俺が触ったように、思い出しながら』  無理無理、おかしい、変だ。  ――なのに、俺の手を優斗さんが動かしだして、そうしながら今度は脚にキスが落ちはじめて快感に捕らわれる。 「……っ、ん、……ヤ…だ…っ」 『イヤって言いながら感じてるんだろ? 捺のエロい声に煽られるんだけど、俺』  ちゅ、とケータイの向こうからリップ音。 「……ぁっ…」  優斗さんの手に誘導されながらだけど俺の手で俺の息子を扱いて。  先走りが溢れる先端に優斗さんが舌を絡めてきて。 『なーつ。気持ちいい? 俺の手と舌、覚えてる? 捺の大きいの咥えたの―――覚えてるだろう?』  偶然、なんだろうけど。  ぴちゃぴちゃと音を立てながら先端を口に含んでいる優斗さんと、数時間前抱きあった智紀さんの姿がリンクする。 『捺、たくさん出したよね?』 「……っく、ぁッ」  俺の頭ん中に浸透してくる智紀さんの甘い声。  そしていつの間にか優斗さんの手は離れてて、なのに俺は自分のを扱き続けてて――舐められたまま、後孔に指が入り込んできた。

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