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第73話
もうギリギリの俺の息子はあと数回扱けば爆発するってわかるくらいにギンギンに勃ちあがってる。
正直この状態で放置はめっちゃくちゃキツイ。
優斗さんと電話でだけど智紀さんと、なんつーありえない状況でこんな状態になってる俺の息子に呆れるけど……どうしよう。
でも優斗さんはトイレだし、すぐに帰ってくるだろーしなぁ……。
とりあえず、我慢。
そのまま待機だ。
にしても――さっきのってなんだったんだろう。
智紀さんはともかく、なんで優斗さん……。
あー……!
それに乗せられて感じまくる俺もどうなんだよって話だよ。
まじありえねぇ。
あーーー……。
まだ身体は興奮状態だけど、気分はどんどんテンション下がってく。
しかも時間が経ってくればどんだけイキかけてたって俺の息子も落ち着いてくるし。
「……おそい……」
優斗さんが出ていって結構経ってる気がする。
トイレっていったよなぁ。
とりあえずもうちょい待って――……。
「……どうしたんだろ」
軽く30分以上は経っても戻ってこない優斗さんに俺は気になって服を着なおすと寝室を出た。
トイレに行ってみたけどいなくって、風呂場も覗いたけどいない。
どこ行ったんだろうって思いながらリビングに戻ってきて、ベランダにいる優斗さんに気づいた。
さっきはトイレにって思ってたから全然気づかなかった。
少し悩んだけどベランダへの窓を静かに開ける。
途端に冷たい空気が吹き込んできて身体が震えた。
もう12月に入ったし当たり前だけど外はめちゃくちゃ寒い。
「――……優斗さん?」
煙草を片手に煙を吐き出しながら優斗さんが振り返る。
「……遅いからどうしたのかなって思ってさ」
なんとなくさっきまでの寝室でのことが気まずくていまいち視線を合わせられなかった。
「ああ、ごめん。煙草吸いたくなって」
その言葉に煙草を見る。
煙草はまだ吸いはじめって感じで、でもベランダの手すりの置かれてる灰皿には数本の吸い殻。
「……そっか。ていうかさ、寒いし部屋で吸えばいいのに。風邪……ひくよ?」
上着は薄手のシャツだけで上着を羽織ってない優斗さんが気になりながら、優斗さんの肩に手を伸ばした。
だけど触れる前にその手が掴まれる。
「……ッ」
「……あっ、ごめんね」
予想外に強く掴まれた手はすぐに離されて優斗さんは眉を下げて微笑む。
けど――なんか……。
どっか笑ってない……みたいな。
「ゆ、優斗さんっ」
胸のあたりがすげぇざわざわする。
「あの……」
なにを言いたいのかわかんねーままに、呼びかけたけど言葉が続かない。
なんて言えばいいのか、なに言いたいのか、どうすればいいのか全然わかんねー。
まともに視線は合わせられないまま優斗さんの傍に近づきかけた俺に、優斗さんは笑って首を傾げた。
「言ってくれればよかったのに」
「……え?」
「恋人、できた?」
「……」
言われた言葉の意味が一瞬わからなくて、だけどすぐに頭が真っ白になった。
「……や、いない……できてない……」
恋人っていうのは、たぶん智紀さんのこと……だよな?
あんな電話だったから勘違いしてんだよな……。
「ふうん、そうなんだ。――さっきの電話って……片瀬智紀、さん?」
心臓が跳ねて、顔が強張るのがわかった。
優斗さんと智紀さんは知り合いだけど、でも――。
声で、わかったのか?
もともとパニクってた頭ん中がもっとぐちゃぐちゃになってく。
俺は口を開こうとしたけどなにも言えずに視線だけを泳がせた。
「当たり?」
優斗さんは煙草を灰皿に置いて手すりにもたれかかる。
「――セックス、したんだよね?」
「……」
「ここ一カ月会えなかったのって、智紀さんに会ってたから?」
「……」
「だったら言ってくれたらよかったのに」
「……」
優斗さんはいつも通り笑ってる――けど、違和感あって。
俺は投げかけられる言葉になにも言い返せない。
「松原さん経由で知り合ったのかな? ――……今日は俺と会ってていいの?」
「……違う」
ようやく言えたのはそれだけ。
優斗さんが言ったことは当たってるけど当たってないのもあって、だけどなんて説明すればいいのかわかんねー。
「……なにが、違う? 捺くん」
ふっと小さく笑って優斗さんはまた煙草を咥えた。
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