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第79話
その夜、ひたすら快感だけを追って何度も抱きあって、気づいたらいつの間にか寝てた。
次に俺が起きたのはもう昼で、隣に優斗さんはいなかった。
ヤりすぎてだるくてきつい身体を奮い立たせてリビングに行くと朝食なのか昼食なのかとにかく優斗さんがメシ作ってくれてて、優斗さんはコーヒーを飲んでた。
おはよう、っていつもと変わらねー笑顔を向けられて、俺もたぶん笑って返せたと思う。
サンドイッチとスープとサラダと。
残さずに食って、それから――。
「ごめんね、ゆっくりできなくて」
申し訳なさそうに優斗さんが言って、俺は笑って首を振った。
"急用"ができたらしい優斗さんに俺はメシ食ったあと家まで送ってもらった。
「また連絡するね」
「うん」
なんにも、変わってないみたいな会話。
運転席の窓開けて、外に立つ俺に優斗さんは笑顔で。
それは前となんにも変ってない。
――ほんとに"急用"なのか、知らねーけど。
「じゃあ、また」
「うん」
手を振って車が去っていくのを俺はぼーっとして見てた。
全部見えなくなってから家入った。
日曜の昼間、家族はどっか行ってんのか誰もいなくて俺は自分の部屋にまっすぐ向かった。
上着脱いでベッドにダイブ。
もうめちゃくちゃ疲れてる。
きのう何回ヤったっけってくらいだから、そりゃ身体中軋んでてもしょーがねーか。
智紀さんと3回?
優斗さんとも3回?
俺ってすげーな。
うん、すげぇ。
さすが10代だよな?
でもって、ぶっちゃけたこと言えば、電話えっち、女の子とならしたことあるし。
もっとぶっちゃければ、俺の初体験女の子ふたりと3Pだったし。
べつに、だから昨日のことなんか、たいしたことじゃないし。
女が男になったってだけだし。
だから、別に大したことじゃない。
「……あー……ダリぃ」
後痛いし、身体ミシミシしてるし。
でっかいため息が出る。
枕引き寄せて、まくらに抱きついて、ため息。
――俺と優斗さんは付き合ってない。
――俺と智紀さんも付き合ってない。
別に今までだって、適当に女の子と遊んでヤってたし。
だから、別に大したことじゃない。
「……ねむ……」
ただ――。
「……寝よ」
ただ――ちょっとだけ。
ほんとに、ちょっとだけ。
「……くそ」
――泣きそうかも、しんない。
―――――
―――
――
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