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第5夜性少年の嫉妬 第1話
テレビである光景を見た。
それを見て、俺は思った。
ガキで馬鹿な俺ができること。
ていうか……優斗さん、俺は――……。
***
4月中旬になって日によってはだいぶん暖かくなってきてた。
夜も結構暖かい日もあって、今日は特に暖かい。
「来年はどこか遠出して桜見に行こうよ」
もう葉桜になってる桜並木を眺めながら隣に座る優斗さんを見た。
「そうだね。京都の桜とか見てみたいな」
俺達が今いるのは俺の家の近所の公園。
今日は日曜で、優斗さんに送ってもらったところだった。
夜の9時をまわってるから空には月。
今日は満月みたいで夜空がすげぇ明るくて葉桜な夜桜だけどすごいキレイで、公園に立ち寄っていた。
「見たい~! 京都って中学の修学旅行でしか行ったことないな」
優斗さんと付き合いだしてもう4カ月が経ってる。
正直いままで女の子と付き合っても1、2カ月とかだったから、4か月も付き合ってるなんて信じらんねー。
でもずっとずーっとこのままめっちゃくちゃいちゃいちゃしまくってずーっと一緒いるって自信はある。
「じゃあ来年……行こうか」
「うん!」
当たり前のように交わす約束がめちゃくちゃ嬉しい。
俺って乙女かよ――なんて自分に突っ込みながら優斗さんと目があってキスして。
「……んっ」
誰もいないのはわかってたから舌絡めて週末中何回もしたのにまた身体が熱くなる。
「――捺くん、帰ろうか」
人気がない公園だったけど、さすがにヤれるはずもねーし、でもキスしかけまくってたら優斗さんに苦笑された。
もっと一緒にいられたらいいのになぁ。
すっげぇ帰りたくねーけど明日は学校だし優斗さんだって仕事だから頷いて送ってもらった。
「じゃあね。また連絡するよ」
「うん」
最後にまたキスして車を降りた。
ばいばーい、って手を振って走り去る車を見送る。
完全に見えなくなってから家に入った。
リビングに声かけて二階の自分の部屋に戻って着替えもしないままベッドに寝転ぶ。
天井仰いでスマホ取り出して弄って。
優斗さんにメール打ったりしてたらなんか眠くなる。
あーでも風呂入んなきゃなー。
いや優斗さんちで夕方入ったし、いいか?
それにしてもなんで休みってあっという間なんだろうなー。
休みだらけだったら優斗さんとずっと一緒にいられんのに。
つーか、卒業したら一緒に暮らすとかできねーかなー。
そんなことをしょちゅう考えるくらいに俺は優斗さんにハマってて。
たぶん付き合いはじめた頃よりも好きって気持ちは増えていってた。
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