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第18話 体温(3)

 なんだろう、この奇妙な感覚は。  普段絶対に触られることのない内側を眞玄に弄られる、という羞恥もあるが、気持ちだけの問題でもない。何故か体が反応してしまう。  どこでこんな知識仕入れてるんだ、やっぱり男の経験があるのではないか、という疑惑が浮かぶ。それでも、もしそうだと言われたら嫉妬に駆られる自分が容易に想像出来たので、あえて触れない。 「……ダブったからじゃね。……次はちゃんと、単位取ろうな……」 「朔もね……ね、俺の指入ってんの、わかるでしょ? 痛くない?」 「――今んとこ」  言葉にされると余計に恥ずかしくなる。馴染みのないところを眞玄の指でゆっくり犯されて、体が変な熱を帯びていた。湿った音を立てて出し入れされて、慣れない感覚に神経がひりひりする。更にもう一方の手が前に回って、さっきまで口でなぶるようにしていたモノを弄られ、徐々に追い詰められていった。  眞玄の手は大きくて、器用だ。  どうしたものやらわからなくて、されるがままになっている。 (主導権は眞玄とか言われたし……)  言われたからといって、そのまま従う謂れはない。それでも、与えてくれる快楽に身を委ねてしまっている。 (確かに、優しいっちゃ優しいよな……いきなりがつがつ来られたら、俺ヤバそう) 「朔、気持ちいい?」 「……聞くなよ、そういうの……っ」 「少し前に指増やしたんだけど、知ってた? もうそろそろ入りそうかなー」 「…………嘘、マジで」  いつまでこんなの続けるんだろうと思っていたら、いつの間にそんなことになっていたのだろう。もうそろそろ、と言われて急に怖じ気づく。体が強ばって、無意識に眞玄の指をぎゅっと締め付けてしまった。 「ここ、こうしたら……どう?」  締め付けたのを二本の指で優しく押し拡げ、わざと音を立てて深く探るように、指を曲げて中を擦られた。前の方も絶妙な力加減でしごかれて、眞玄にそんなことをされているんだと改めて思ったら、どうしようもない射精感に襲われた。 「眞玄、ちょ、出る……って!」 「いいよ、その為にやってんだから」  後ろから首筋の辺りに眞玄の顔があって、耳のすぐ傍で吐息混じりの欲情した甘い声がした。  我慢出来なくなって、そのまま眞玄の手の中に熱いものを吐き出してしまう。 「朔……いっぱい出た」  なんだかとても嬉しそうに囁いて、精液で汚れてしまった自分の手に鼻を近付けた。 「何してんの……ふ、拭けば」  一体何をしてるんだこの男は。  朔はいたたまれない気持ちでいっぱいになって、枕元にあったティッシュに手を伸ばす。シーツに零れてしまったのは後回しにして、眞玄に何枚かやるが、なかなか拭こうとしない。 「今ねえ、堪能してんの……朔の匂い」 「変態か! ……頼むから、拭いて」  もう眞玄のことは放っておいて、シーツの方を拭いていたら、また体を引き寄せられた。

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