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第19話 体温(4)

「まだ終わってないだろ? 俺もそろそろ我慢の限界だから、イッたとこ悪いけど」 「――え!?」 「やらせて」  口でぴっとコンドームの袋を破ったのがわかった。慣れた仕草でそれを付けたと思ったら、脚を開かされて、さっきまで指でじっくりほぐされたところに、眞玄の体温がやや強引に侵入してきた。混乱と共に息が詰まった。 「眞玄……っ、いってえ……マジ無理……!」 「ごめん、だから、力抜いてて。……息、ゆっくり吐いてみて」 「ひぁ……っ、や、……め……っ」  指とは明らかにサイズの違うモノで後ろから貫かれ、自分自身でも聞いたことのない、妙な声が漏れた。言われた通りにゆっくりと深呼吸しようとするが、がくがくと震えてしまい上手く出来ない。 「朔……大丈夫だから、ね、俺ちょっと止まるから、落ち着いて」  涙がにじむが、優しい声で言っても抜いてはくれない。 「眞玄のが……で、かいって……ことは……っ? 無理」 「そんな規格外じゃないから、絶対平気。朔はすぐに無理って言わないの。……そだ」  ふぅっと耳元に吐息を吹き掛けられ、尖らせた舌先で耳の穴を舐められた。ぞくぞくした不意打ちに、力が一瞬抜けた。 「ふぁ……っ」  眞玄が更に奥まで突いてきて、頭が真っ白になった。びりびりと電気が走るような感覚に襲われて、鳥肌が立つ。 「ほら……、出来んじゃん。朔、朔はやれば出来る子だろ。……俺の全部、入ったよ」  楽しそうに言っている眞玄の手が、体のあちこちを触ってくる。 「朔の中、あったかくて気持ちいい……さすがに狭いよね」  そういう発言やめてくれ、あまりに恥ずかしい。朔は非常に指摘したかったが、とても言える状況にない。圧迫感と羞恥心に耐えていたら、 「朔、俺ね……今日俺は三味線一人で弾いたけど、ギター弾きながら歌うのも、まあ一人で出来るけど……さぁ」  朔の中を抉るようにゆさぶりながら、なんだか唐突に関係のない話が始まった。話し掛けられても、ろくに返事も出来ず、言葉にならない声ばかりが出てしまう。  さっき射精したばかりなのに、こんなことされてまた硬さを持ち直した自分にびっくりもする。これって、気持ちいいんだろうか……単に眞玄にされているこの状況に興奮しているのか、よくわからない。 「浄善寺のドラムとさ……朔のベースがあるから、ちゃんと厚みのある曲になるし……、一人より三人の方が心強いし、俺も馬鹿なことやれる。……だから俺は、バンドやるんだよ」 「……眞玄……っ、それっ……、い、今……?」  今言うことなのだろうか。  とても大事なことを言われている気がするが、今この状況で話すことでもない。 「今、言いたくなったから。……朔、ごめん。朔に可愛さ求めてないって俺、前に言ったかもしれんけど、やっぱおまえ可愛いわ」  眞玄に後ろからキスをいっぱい落とされて、思わず心がうわずってしまう。  頭の中も、体の中も、眞玄でいっぱいになる。 (もうマジでおかしくなりそう……)  頭空っぽなふりして、結構眞玄も考えているのかな、なんてふと思ったが、言いたいことを言ったら今度は性欲が暴走したのか、めちゃくちゃ揺さぶられてしまい、本当にわけがわからなくなった。

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