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第48話 心の底にあるもの(3)

 狭い布団の上で、この前と同じように時間をかけて体を開かされる。二度目とは言え、やはりこんなことされるのは恥ずかしいし、自分がまるで女の子のように扱われるのは変な気がした。嫌、というわけではないが、別に浄善寺みたいに可愛いわけでもないのに、どうしてかな、という疑問が先立つ。  最初の時は後ろから抱き込まれる体勢だったが、今夜は前から攻められていて、相手の表情がよくわかった。眞玄は終始嬉しくてたまらないと言った感情が表に出ていて、何がそんなに面白いのかと聞きたくなる。 「なあ……なんで、俺……体とか……っ、別に普通じゃんか……よく、そんなふうに……なれる、よな」 「お、喋れる余裕あるね。前回は、いっぱいいっぱいだった印象だけど。……んじゃ、もっとがっついてもいい?」 「えっ!? ……っ、あっ……駄目、やめ……」 「やめないよ? 朔のここ、俺にもっと奥まで来てって、誘ってるもん」 「んな、馬鹿な……そんな動い……っ、んぁ、あ、あぁ……っ!」  余裕があると思われた途端、様子見でゆっくり攻めていた眞玄の動きが唐突に変わり、深く突き上げられゆさぶられた。びくびくと体が痙攣し、自分の中の熱い感触を締め付けてしまう。無意識に出る声に、自分で恥ずかしくなる。 「朔って……ほんといい声出すよね……。すっげ興奮するんだけど……俺のこと煽ってんの? 録音しちゃおっかな? ちょうどレコーダーが、傍に転がってる」 「そんなこと、したら……殴るからな……っ」  冗談ではない。そんなことされたら、ICレコーダーを見るたびに思い出してしまうではないか。 「――怒んないで、冗談だよ。なんかの間違いで流出したら、ヤバいもんねー。……可愛い、可愛いよ朔。俺にどうしろっつの」 「ど……どうもこうも……っ」  声に隠せない欲情の色が混じり、明らかにテンションの高い眞玄を制御出来るわけもない。何故そんなに「可愛い」を連呼しているのか。どうしろとか言われても、困る。 (眞玄、エロすぎ……激しい……マジヤバい)  欲望のままに朔の中を出し入れされ、お互いが擦れる濡れた音が、こちらの性欲まで過剰に刺激する。 「駄目だぁ、またリミッター外れそう……滅茶苦茶しちゃっていい?」  わけのわからないことを言いながらも、朔を更に鳴かせようとしているのか、眞玄は容赦なく攻め立ててくる。 「……苦しい……って……」  酸素が足りなくて、変に喘いでしまい、更に興奮されてはの悪循環だ。だけど確かに苦しいのに、眞玄の体温をこんなに近くで感じるのを、嫌だとは思わない。むしろもっとして欲しくなっている己の欲求に気づき、朔はびっくりする。 「あ……さっきの質問だけど、体なんてさ、ただの魂の入れ物だし、あんま見た目は関係ないよ。朔の体だから、こうやって愛せるの、わかる?」 「わ……かんね……」 「――朔、もしも、」  朔の脚を思い切り開かせて、更に深く侵食しながらも、何故かふと眞玄の声のトーンが下がった。 「俺のやることに疑問を抱いても、朔だけは傍にいて。俺を、見捨てないで。……朔、大好き。俺のことを好きでいてね。……置いてかないで」 「……なに……」 「不安でどうにかなりそう」  抱えた朔の脚を強く吸ってキスマークを残した男は、いつもの眞玄とはどこか違って見えた。

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