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『何を言う! 僕がスケベになるのは君にだけだ』

 外面も外見も良い海輝は同性にも異性に人気がある。  口さえ開かなければ見惚れる様な男だと昔は良く思ったが、それはあくまでプライベートの彼しか知らないからだ。  陽気で紳士的な外面ばかりを見せ続けている社会人としての彼は、蝶を引き寄せる花の如き魅力を持つ男なのだと若狭の秘書を通し聞いた事がある。 「何が疚しい事だ。お前は俺を侮辱するのか万死に値する。 俺がお前以外と何をどうすると言うんだ言ってみろ。返答次第でお前を殺す」 『え? 僕にエッチなこと言わせたいのヤダもうスケベ大好き! 言葉責めする年下の恋人とか最高。よしテレホンセックスしようか! 今から下着の中に手をいれて君の可愛い』 「馬鹿変態死ね。もう切るぞ」 『まってまってぇええええ!! 君が育つまで頑張って待ってる僕にご褒美下さい』  きっとこんな変態な彼を知れば数多くの女が幻滅して見向きもしなくなるとは思うのだが。  外面だけは良いのだ。  こんな澄ました顔で厭らしい言葉を吐くなんて想像もできないだろう。 「十歳の頃の俺に七、八年待つと宣言したのはお前じゃないか。何がご褒美だ」  とは言え、海輝曰く「味見」「つまみ食い」で半分ほどは食われている様なものだから、今更な気もする。 『待つけどつまみ食いはするとも言ってるよ! 錦君不足で辛いから、ちょっとつまみ食いをさせてくれ! と言う事で話を戻そう。七夕デートしよう。海輝お義兄様は寂しいと死んでしまうんだよ!』 「なんて助平な男なんだ。下心だらけじゃないか。破廉恥な。いやらしい。猥褻の権化だ」 『何を言う! 僕がスケベになるのは君にだけだ』 「……おい、それ以上は言ってくれるな」 『君以外の誰かに勃たせたことなんてないと誓えるとも! 僕の大事なおチンポは錦君の大事な所にしか挨拶する予定もお邪魔する予定も無いぞ! 君だってそうだろう』  それ以上は言うなと言ったのに。  恋人なのだから、悪い事ではないのだけれど露骨に求められると思わず引いてしまう。

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