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『運転免許を停止するも何も、今現在無免許だもの』

「若狭様の運転免許の停止は避けられませんね」 「そう言う問題じゃない」  持参したチョコレートの包み紙を丁寧に開いていた若狭が、手を止める。 「そう言えば免許更新し忘れて六カ月と二十日程経過しました。免停にはなりません」  運転免許を停止するも何も、今現在無免許だもの。 「左様でございますか」 「流石です若狭様っブランクを感じさせぬ見事なハンドルさばき、芸術的に美しいドライビングテクニックで御座いました!!」  頷く佐々木と、興奮気味にまくしたてる眼鏡三人。  予想以上に、いや想像を絶するほど酷かった。  どういう事だこれは。  何故誰一人、彼を咎めない。  眼鏡三人、万歳三唱をするんじゃない。  脳の構造に確実に問題が有る。  彼ら五人は頭の回線が明らかにおかしい。 「道路交通法第六十四条に無免許で運転はしてはならない旨が規定されている! それなのに貴方と言う人はっ!」  警察は未だか、この男は早急に逮捕されねばなるまい。 「あれだけの事を仕出かし、さらに罪を犯していたと言うのか。無免許運転だと?」  そこまで言いついに精神的負担に限界を迎えた錦は、ぷちりと何かが切れる感覚に陥る。  椅子に腰かけたまま視界が暗転する。  運転中でさえ何とか持ちこたえていた意識が、ついにぶっ飛んだ。

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