54 / 245

『願い何てお前が側に居るだけで全て叶ってる』

「それで、俺はお前の願いを叶える事は出来たのか」  笑顔で頷いた海輝は体を起こして、錦の額にそっと唇をおとす。 「君は良く僕が初めてを経験させるというけど、それは僕も同じだ。君は僕に沢山の初めてを経験させる。大好きだよ」  髪を撫でられ、生え際に唇を押し当てた。  背に回していた手を外して「お前が俺を好きな事は知ってる」と言い身を起こす。  星が次々と流れ落ちるのをしばしの間言葉なく見入った。 「流星群なんて始めてみた……綺麗だな」 「願い事でも唱えるかい?」  と笑う海輝に 「願い何てお前が側に居るだけで全て叶ってる」  と返せば海輝が目と口をぽかんと開けて、次に顔を覆う。 「何だ」 「いや、御免。男前すぎて惚れなおした」  俺よりお前の方が良い男だ。  そう心の中で返事をし、星空を眺めた。

ともだちにシェアしよう!