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『意地悪』

「沢山厭らしい事されたんだ?」  きっとにやにやと笑ってる。  これは良く無い兆候だ。 「……厭らしいことしたじゃないか」  こうなったら海輝の望む言葉を言った方が良い。  意地を張れば余計に恥ずかしい事をされるのは疑いを入れる余地がない。  しかし何故こんな時に、意地悪をするんだ。 「それで厭らしい事ってなぁに?」 「だから……海輝の指で胸を弄られて、恥ずかしい事に……」 「恥ずかしい事ってなぁに」  調子に乗るなよ貴様、と言いかけるのを堪えて「だから、海輝の行動が原因で生理的肉体的反応により、乳首が固くなった」と言えば、海輝ははぁっと溜息をつく。 「乳首がたってるのは見ればわかるよ。厭らしい気分になったかどうか詳しく教えてよ」 「何で、意地悪するんだ」 「じゃぁ、もっと苛めちゃおうかな」  乳首をつつかれ小さく呻く。 「――……海輝が乳首に猥褻な事をするから」 「卑猥な事?」 「厭らしい事言いながら厭らしく乳首摘まんだり撫でたりするから」 「うん」 「俺の体が……厭らしくなった」  及第点だと思ったが海輝は「ぶはぁ! 錦君語彙力死んでるねぇ」などと笑う。  笑い声が反響し煩い。  それにしても失礼な男だ。

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