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『辿り着いてしまった』

「俺の乳首を見れば一目瞭然。語彙力など不要だ。お前の所為で何時もと違う事になっている」 「そうだね。思ったよりエッチな体に育った。乳首虐められて感じる子じゃなかったのに」 「……マゾヒストのように言うのは止めて貰おうか」 「再現しようか」  彼はくつくつと喉で笑った。 「……しなくて良い。もう良いから胸を触るのは止めろ。腫れると困る」  すでに腫れているので、これ以上腫れると困る。  愛撫は中断されたのに。  触られても居ない小さな胸の粒はじくじくと痛み熱を持っている。 「じゃぁ錦君。オナニーもちゃんとする?」  だから、何が「じゃぁ」なのだ。 「しない」 「しないじゃないでしょ。する時は乳首も触りなさいね?」 「断る」 「強情だなぁ。じゃぁ、オナニーの話しは後だ」 「しつこい。絶対しないぞ」 「そう? でも多分したくなるよ」  肌の上にのる泡をすくい集めながら、軟体動物を思わせるゆっくりとした動きで掌が降りていく。 「待てそれ以上は……っ――」  ひゅっと息をのみ、硬く唇を引き締めた。  右手が臍の下に掌が辿り着いた時思わず手を掴むが、すでに辿り着いてしまった。  やんわりと泡と湯で濡れた繊細な繁みへ指が滑り込んだ。

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