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『幼い罵倒』
馬鹿変態スケベ。
そんな幼い罵倒をしながら、海輝の指先に翻弄される。
指先より舌先で。
直に触れるよりは布越しで。
海輝の言う通り幼い頃は性感が淡く、直接的な刺激より間接的な愛撫の方が感じていた。
快と不快は紙一重だと初めて知ったわけだが、今は快の方に体が傾いている。
「自分で弄るのと僕の弄られるのやっぱり違うの?」
小さく頷く。
「だって、……そんな、事、しない」
「恥ずかしがらずに、教えてよ。オナニーして感じることないの」
そんな事分からない。
生理現象に過ぎないそれは、コップから溢れる水と同様ただ処分するに過ぎない。
そこに、何らかの特別な感情など有る筈もない。
だから海輝の言う快楽を目的とした自慰には当て嵌らない。
それ以前に海輝が居ないのに、どうやって情欲をもって身を昂らせろと言うのか。
性的欲望を満たすような真似をした事は無いので、海輝の疑問には答えようもない。
欲望を持ち触れる相手は一人しかいないのだから。
答えは、今こうして錦の肌を愛でる海輝だけにしか分からない事なのだ。
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