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『冷えた胸をなぞる指先』

「このまま寝なさい」  心地良い疲労感にこのまま眠りたくなる。  肌の火照りは完全に引き、ひやりとした空気が気持ち良い。  お休みという言葉と共に額に口付られる。  海輝に撫でられる皮膚の感触が湿り気を帯びている。  頬、肩、腕。冷えた胸をなぞる指先が熱く感じる。  薄く目を開くと、海輝が丁寧に肌を撫でオイルを伸ばしていた。  優しく動く指先が、胸の中心を辿ればびくりと体が跳ねる。  微睡んでいた意識が完全に覚めた。  何度か瞬きをして、海輝を見つめるとどこか申し訳なさそうに笑っていた。 「目が覚めちゃったか。御免。オイル冷たかった?」  そう言う訳ではない。 「いや……」  大袈裟な反応に自分でも驚いていた。  皮膚が薄い場所は自分で触れるのとは違い強い刺激を感じた。

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