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『今更上品ぶるな』
「今更遠慮するのか」
「余りがっつくと嫌がられるかと思って」
今更上品ぶるな馬鹿。
苦笑交じりに、取られた手を翻し海輝の頤を指先で撫でると相好を崩し嬉しそうに笑う。
少し幼さを感じさせる顔に錦の顔もほころんだ。
喉が渇いただろうと言われ、渇いたと返せばベッドサイドテーブルからミネラルウォーターのボトルを取り上げる。
上半身を抱き起されて口移しに水を含まされた。
冷たい水が喉を下る。
口移しなのに、嫌悪感は無い。
熱を持つのに水を含む表面は冷たい。
重なる唇が気持ち良かった。
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