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『可愛いおねだり』

 うふふと海輝がくすぐったそうに笑う。  海輝の手が脇腹を撫で、腰を撫で大腿をなぞる。  性の香りがしない愛撫にほっとして、海輝に「頭」と一言呟いた。  撫でろと口にしなくても、馬鹿でないなら分かる筈だ。 「そんな可愛いおねだりされると、また欲しくなっちゃうよ」  額に口付をされて、こめかみから頬指を入れ頭皮を撫でられる。  耳の裏側から後頭部を撫で髪を梳いてシーツへ流す。  頭を撫でられながら錦は満足げな溜息を洩らした。 「欲しいも何も、一方的に俺を弄りまわしただけじゃないか」  乱れたのは錦一人だけだ。  ふんと鼻を鳴らすと彼は 「じゃぁ、この場合欲しくなっちゃうのは君の方か。いてっ、抓るな。照れることないじゃないか。僕に厭らしい事されるの好きだろ?」  と笑いながら湿り気の有る髪を弄る。

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