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『背徳』

 ――恥ずかしい。 「白いなぁ」  しみじみと言い、もう一度割開いた膝の間に入り込み今度は閉じれない様に足の付け根を手で押さえる。  大腿付け根をなぞり「きめ細かい」と感嘆の息を吐く。  中心部に近付くほど、肌理はさらに細かくなり指先に吸い付いた。 「跡を付けるのが悪い事みたいに思えてくる」  ――跡、そんな所に……。詰まった息を漏らす。 「ここも、綺麗な色をしてる」  臀を探られ腕の間から海輝を縋る様に見上げる。 「あまり」  消え入りそうな呟きだったが海輝が「うん?」と動きを止める。 「余り見ないでくれ。恥ずかしい」  自分でもまともに見る事も無い体内と体外の境界。  きっといつか彼を受け入れる小さな入り口。  そんな所を恋人が見ている。  海輝の言う大事な所は、どんな方法をもってしても鍛える事が出来ない、人体でもっとも弱く最もグロテスクな場所とも言えた。  そこを曝け出す戸惑いは、羞恥より罪悪や背徳に近い。

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