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『物欲し気な視線』

「――あっ、やだ。ひろ、げるの……」  息が整わないまま話すので、所々不明瞭になる。  海輝に理解してもらえるか不安になる程だった。 「ここもトロトロにしてあげるね」  残念ながら、伝わらなかったらしい。  睨みつけるが、物欲し気な視線では説得力がない。 「た……な、い……ぁ、と、こ……だ、から」  汚い所だから駄目。  舌を縺れさせながら何とか絞り出す。 「さっき洗ったでしょ、気になるならまたやる?」  シャワー室の事を暗に示しているのだ。 「今度は泡立てたジェルで奥まで掻き回して洗おうか。射精だけじゃなくて、お漏らしする所を見せてくれる?」  それだけは嫌だと首を振ろうとするが、体の力が抜け酷く怠い。 「恋人のだからしたいんだよ。許してくれるでしょ?」  懇願の響きが帯びれば、無下には出来ない。

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