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『唇を見る』

「んっ、はぁ、はっ、はぁ……」  全力疾走後に近い息遣いに胸の苦しさを感じながら、必死に酸素を取り込む。  力が入らないのに体の強張りが解けない。  玩具の様に跳ね痙攣する体を海輝が優しく撫でる。  大腿、腹、胸、鎖骨、首筋と唇が辿り、最後にこめかみに口付けされる。  胸を喘がせながら薄く瞳を開き、海輝の瞳を見て唇を見る。  物欲しげな視線で、もう一度海輝の瞳を見ると「良いの?」と囁いた。  小さく頷くと微笑んで唇に唇を落とした。  彼の唇から生臭い性の味がする。  唾液と混じり合う苦さを舌先で味わいながら、海輝の背中を撫で腰へ手を下した。

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