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『我慢できなくて』

――海輝のだ。  緊張に詰めていた息をゆっくり吐き出す。  指先が生温く濡れる。  ぎこちない手つきで包み撫でると、熱を持つそれはぐっしょりと濡れていた。  鼻先を海水じみた香りがかすめる。  海輝が濡れているその理由に驚いて見上げると、悪戯が見つかった子供の様に微笑む。 「――君の感じてる声とか顔とか見てると我慢できなくて」  へへっと笑う顔に小さく「馬鹿」と返し、ゆっくりと手を上下する。  放出してなお、痛々しいほどに張り詰めたまま脈打っている。  力の加減が分からず、撫でる様に愛撫を始める。

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