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『君の好きにして』

 すれば良いのに。  しかし、彼のやせ我慢と言うには強い意思と拘りを裏切らせるのは、いけない事だろう。  彼は、錦にだけは何が有っても優しい男でありたい。と言った。  最後の一線を一歩手前で守る事で、彼の抱く錦への思いを守る。  それは彼にとっての恋人への誠実さへの証明と矜持なのだ。  ――敬虔とも言える海輝の錦への情を壊す事など出来ない。  彼が守りたいと思うのなら、それを踏みつけ背を押すことは出来ない。 「如何すれば良い?」 「君の好きにして」

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