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三十四話:『熱を灯す』

「存分に可愛がってくれ」 錦がやりやすいように、寝そべる。 艶めいた笑みと囁きに、爆発しそうな心臓の音が耳の奥で木霊す。 渇き始めた皮膚に垂らされたボディオイルが指に絡み、些細な動きにもセクシュアルな音を立てる。 秘めやかで、そしてねっとりとした音。 舌を絡めた時の音、粘膜を愛撫された時の音。 数時間で慣れ親しんでしまった、淫靡な水音。 ふっと、海輝から小さく息が漏れ小動物の様にびくりと体が跳ねる。 海輝の呼気が乱れ、それだけで錦の心音もさらに早くなる。

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