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『幸福感に包まれながら』

「海輝の逞しいな」 立ち昇る濃厚な匂いを抵抗なく取り込めば、不快感は無く肺に馴染んだ。 海輝と目が合うと、彼は切迫した表情で唇を覆う。 生臭い性の匂いと荒く途切れる息。 互いに激しく欲情してるのが分かった。 荒く息を吐く合間、錦は海輝の睫が震えるのを見つめ胸が苦しくなる。 愛おしくてたまらなかった。 錦を取り込もうと夢中で唾液を啜り、全身で欲しいと訴える海輝が愛おしかった。 幸福感に包まれながら唇を吸い上げ舌を絡ませて、抱き込まれる。 「ふ、あっ、んっん」 ぬぷぬぷと唇の間で音を立て舌が互いの咥内を行き来する。 横に寝ていた海輝が顔を起こして、錦の上に乗り上げる。 「ふぅ、むっぅう」 海輝は錦の手を掴んでまだ力を持つ自身と、兆した錦自身を共に掴ませる。

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