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『骨抜き』

「可愛い」 「お前程じゃない」 「これ以上僕を骨抜きにしてどうするのさ」 「さぁ、どうしようか」 「生意気。ふふ、やっぱ可愛いなぁ」  抱き直されて、腕から胸に頭が移動する。  視界が変わり先程までは見えなかったベッドの状態に錦は少しだけ可笑しくなった。  本当に、乱れている。  正確には爛れている。  ボディオイルの瓶がベッドの淵に沈んでいる。  恐らく、タオルやバスローブは床に投げ出されているのだろう。  視線を上へ移動すれば、ベッドサイドテーブルに千切られたボトルタグとミネラルウォーターの空のボトルが二本。  一本は倒れているのが気になるが、ボトルを起こす為に手を伸ばすのが億劫で放置している。  指一本動かしたくない。

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