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『胸に収まる』

体中の水分が全て抜けてしまうのではないかと言う程に、濡れていた肌はすっかりと乾いていた。  ひんやりとした空気に馴染みながらも、シーツには数時間前の狂乱の跡が色濃く残されている。  握りしめのたうち体液や汗を吸ったシーツは、熱が移り湿り気を帯び波打ち乱れている。  完璧なベッドメイクも、数時間で清潔さは跡形も無く消え去り、清潔なリネンの香りは霧散し代わりに汗と精の香りが染みついていた。  淫靡な香りを纏わせながら人肌を宿すそれは、使い古された様に柔らかく二人を包みこむ。  不快感は無く安堵感に心地よさをおぼえて、錦は海輝の胸に収まっていた。  互いを露わにして縺れ合い、烈火の如く激しい情欲は鳴り潜めている。  

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