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『欠伸をかみ殺す』

 穏やかな気持ちで、海輝の声を聞いていた。  出涸らしになる程に乱れたのに。  睡魔は一向に訪れることはない。  眠る時間が惜しいと感じているからかもしれない。  海輝も同様なのか疲れている筈なのに、口数多く錦との会話を楽しんでいる。  やがて、感じ続けていた疲労感は恍惚感に変わり、思考が淡い霧に包まれていく。  気怠さと心地良さに漏れた欠伸をかみ殺した。  眼は冴えてるのに頭の中はフワフワとしていて、浮遊感が気持ち良い。  もう一度欠伸をかみ殺すと、涙が滲んで眼の奥がじんと痛んだ。

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