「淡水魚や熱帯魚も捨てがたかったんだけど、海水魚の方が水槽の見栄えが良いんだよねぇ」 「魚にもよるんじゃないのか。エンゼルフィッシュとかディスカスとかあるだろ」 「まぁねぇ。ただ、見栄えを考えると海水魚の方が他の海水生物と混泳できるからねぇ。アロワナにしようぜぇって言う意見も有ったけど、大型魚は生理的に苦手と言う人も居そうだしやっぱ海水魚になったんだ」 「アロワナは好き嫌いが別れるだろう。若狭先生の仕事部屋にアロワナの水槽置いてるが、更紗は気持ち悪いと言ってた」 「大型魚自体、生理的に駄目な人いるよね。更紗君もそれだろ」 　大型水槽に泳ぐメタリックな古代魚。 　生餌を食べる姿を見て、ますます嫌いになっていた。 　餌に食いつく迫力を、悍ましいと感じたようだ。 「俺は古代魚好きだが、どうも恐怖心を煽るらしい」 「あの子なら食べれそうとか言いそうだけどな」 「確かに」 　ピロートークにしては色気が無いかもしれないが、とりとめも無く会話ができる時間が何より尊かった。