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「そういう態には、なっているだろう」

放っておけば寝転びそうな気配の弟に、宗明は柔らかく目を細める。 「そうそう。新しく人を、家族ごと迎えたらしいな」 宗明の目が揺れる。それに気付いた成明が、ずいと顔を寄せてきた。 「ずいぶんと、美しい娘だそうじゃないか」 「佳枝と、変わらないほどだ」 ふうんと探るような成明の視線が、好色そうに濡れる。 「しばらくは、誰も召し抱えないと言ったそうだな」 「あまり人が多くなり、諍いが起こっても仕方がないからな」 「女色に溺れる生活をすると、言っていたのにか」 「そういう態には、なっているだろう」 半眼で、意味ありげな笑みを浮かべる成明にたじろぐ。 「弟の方には会ったが、なるほど、あの姉ならば相当の美しさだろうな」 「会ったのか。いつ」 「案内をしてくれたぞ。春吉と言ったか。あれならば欲しいと、生唾を飲む従者が居た」 からからと笑った成明が、兄の目の鋭さに笑いを止める。 「――――兄上」 「うん?」 「男ならば子を成さぬから、その部分では権力争いの道具に使われるなどという心配も無用だな」

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