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好色な笑みを向けられた。
「どうして、そんな事に――」
「佳枝様が、成明様を想われているからという話だ。あの方は自分の思い通りになることが、当然と思うておられるようだからな」
口さがない者たちが、佳枝のことをワガママな美姫だと小声で言っているのを、春吉も耳にしたことがあった。
「子まで成した、自分だけを愛してくれた者を裏切り、その弟が欲しいから火のない煙を上げて宗明様を追いやり、自分は成明様の北の方に納まろうとしているって話だ」
ゆるく、春吉が息を吐きながらかぶりを振る。
「信じられないだろう。俺なら、そんな事はしないけどな」
光正がゆっくりと、のしかかってきた。そこで初めて、春吉は自分が彼にどのような目で見られているのか、理解した。
「光正様――」
「春吉」
熱っぽく名を呼ばれる。身じろぎ、交わすと戯れていると思われたのか、好色な笑みを向けられた。
「それが、どうして隆敏様がピリピリされていることに関係するんですか」
「隆敏様が、宗明様を想われているからだよ。おまえの姉は、佳枝様に良く似ているとの話だしな」
目を見開いた春吉に、光正が唇を寄せてくる。
「嫉妬されているのではないかと。あくまで、噂だけどな」
「ッ――――」
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