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「もう、日が暮れるな」
「――ッ」
春吉の手が自分の着物をくつろげ、下肢にある繁みをまさぐる。そこが、他人の手で昇り詰めた時が肌に蘇った。
「んっ、ふ――ふっ、ぁ」
着物に顔を押し付け、尻を突き出した格好で、春吉は自分の熱を高めていく。
「ぁ、は……ッ」
体中に愛撫をされたことが蘇る。触れて欲しいと、繋がりたいと強く願う。
「宗明様――むね、ぁ、きさまッ」
春、と呼ばれた甘い声が耳に木霊し、空虚な快楽が迸った。
「あっ、ぁ、ア――――」
身を震わせて全てを放ち終えたと同時に、春吉は嗚咽を漏らした。
***
夕餉を終えて隆敏を前にしながら茶を飲んでいた宗明が、差し込む光に目を向ける。
「もう、日が暮れるな」
室内に漏れ入る色は、茜だった。
「は」
短く答える隆敏の顔は、岩のように固い。
「何か、あったか」
「いえ」
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