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「春――浅ましいそなたを、見せてくれ」
「私を、求めてくれるか」
唇を噛んで頷く春吉を、感歎の息を胸の底から吐き出しながら抱きしめた。胸で上下した頭を撫で、唇を寄せる。
「あ、あの――」
「ん?」
「ゆ、床下をくぐってきたので――その、汚れを落としてから」
ふっ、と柔らかな吐息が春吉にかかる。
「かまわぬ」
「で、でも」
「先に誘ったのは、そなただ」
「あ、う」
朱に染まった耳を食み、背を掌で撫でる。
「春――浅ましいそなたを、見せてくれ」
「ッ――宗明様」
二人の唇が重なり、着物が床に落ちる。宗明の掌が肩から背中にすべり、唇が顎から鎖骨、胸へとすべる。
「はっ、ぁ、あ――」
色づく果実を捕らえた舌先が戯れると、春吉は甘い声を上げて身を震わせる。迷う手を取った宗明が自分の肩にそれを運ぶと、しっかりと掴んできた。目を細め、強く実を吸うと爪が食い込む。
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