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どうせ大した内容ではない。恐らく、鬘のデザインだろう。

十一月十七日。 プロジェクトの中間報告会を終え、席を立った時プロジェクトリーダーの今田に声をかけられた。 鬘はオーダーメイドの為まだ新調されていない。 つるりとした地肌を髪の流れを変えて何とか隠そうとしてるが、全く意味をなしていない。 もうバレてるのだから、鬘など使用しなくても良いと思う。 「お疲れ様です。何か」 「何かって用は一つだよ」 「心当りといえば明後日のセミナーで用意する弁当ですか? ステーキ弁当ですけど駄目ですか。今からキャンセルはできませんよ。ちなみにお茶は緑茶です」 個人的な意見だが、白米の上に肉を乗せるのは止めて欲しい。 あれでは、ステーキ丼である。 「そうじゃないよ」 予想は出来ていたが、違った様だ。 彼の要件ならば、どうせ大した内容ではない。 恐らく鬘のデザインだろう。

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