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会いたい

海輝は無言で手元を見る。 ゴルゴ顔のオッサンの顔がプリントされた、どら焼き。 「味は普通のどら焼きだよ」 「どら焼き……」 「何、朝比奈君やっぱ疲れてるの?」 海輝は無言になる。 どら焼きと言えば、錦だ。 ――錦君に顔どらやき送ったけど食べてくれるかな……。勿体ないとか言って食べずに腐らせたりしないかな。 届くのは二十四日なのだ。どんな感想が来るか楽しみだ。 ウィンクし唇を突き出した海輝の、キュートでセクシー顔のどら焼きだ。 もしかして、海輝恋しさに錦がプリントされた唇に唇を重ねるかもしれないその様を思い浮かべ、少し切なくなる。 僕も錦君とキスしたい。 会いたい。 「しかし、今回は逃してもらえそうにない?」 忘年会の事を言う伊藤の言葉に怒りが再燃する。 どうしても二十四日と二十五日は駄目なのだ。 「他部署のお偉いさんが顔出すから君が居た方が都合が良いんだよ。何か取引先のお嬢さんと朝比奈君の仲を取り次ぐ的な事言ってたね。逃げた方が良いよ」 「えー……もう、何それぇ」

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