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窓から突き落としても良かったが、昼休憩が終わりそうなので止めた。

窓から突き落としても良かったが、昼休憩が終わりそうなので止めた。 錦の唇より、彼を窓から突き落とす方を優先するなど出来る筈もない。 何とかディスプレイ越しの錦に口付て海輝は誓った。 来年、絶対こいつを窓際に異動させてやる。 なんなら、バスが土日運休で平日は一日に一本、終電が早くてコンビニと某人気コーヒーチェーン店が少なく、歓楽街も無い地方へ飛ばしても良い。 そうしよう。 ふふ、困るだろう。 等と不穏な事を考える。 不穏ではあるが、「その程度」の可愛い悪意だった。 しかし、現在は違う。 半年後の現在。 十二月に入り完全に気が変わった。 錦への道を阻むものは、殺すしかない。 そう考え始めていた。 迷惑極まりない身勝手さである。 朝比奈 海輝は――実は最も恋愛をしてはいけないタイプとも言えた。

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