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何でも許したくなる。でも、駄目だ。
『新幹線と電車使う予定なんだが。そちらに行くのにお前の予定に問題が無ければ、指定席を直ぐ予約する』
国内人口減少の危機につながる事を理解していない錦は、すでに新幹線の時刻を調べていた。
「君は馬鹿なのかい? 何、ウイルス細菌に集団レイプされたいって? レイプ願望があるなら、僕がレイプしてやるよ」
新幹線で隣の席に座った奴が、錦に一目惚れしてストーカー化したらどうする。第一、至近距離で錦と同じ空気を吸うとか許せない。
至近距離にこの子がいるんだぞ。
驚くほど綺麗で仄かにミルクみたいな香りのする子が座ってるんだぞ。
隣の席に座った奴が、キスしたくなったらどうするんだ。
蛸みたいに唇を突き出して来たらどうするんだ。
指定席なら他の席には移動できないぞ。
『ッ……お前は何て事を言うんだ。細菌が強姦とか気持ちが悪い表現するな』
「だからさせるか。僕がレイプするの。あーあー錦君と仲良くしたかったのに、錦君が僕に喧嘩売るから。そういや、君結構マゾっぽいところあるよね。主にベッドでだけど」
『喧嘩売ってるのはお前だろうが。第一海輝が俺に酷い事をするはず無い』
くっそぅ……可愛い。
何でも許したくなる。でも、駄目だ。
心を鬼にせねばならないときも有る。
それが今だ。
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