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僕と錦君の為に、君たち全員死んでくれ
その言葉を聞いた瞬間、海輝は眼を見開いた。
人間でなければ目と口からビームを発していた所だ。
頭が活火山なら大爆発して脳漿をぶちまけている。
脳味噌がパーンと弾けていても可笑しくはない。
グロ十八禁である。
海輝は汗で滑る手で受話器を握り込む。
違和感があると思っていたら、手が震えていた。
脳内では『新婚さんおいでなさい』と言う人気番組に錦と出演し、二人のなれそめ、その他諸々を笑顔で司会者に語っていた。
惚気る海輝の横で錦が照れ笑いを浮かべている。
完全に病気である。
錦が「海輝? どうした?」と心配そうな声を出す。
瞬時に脳内番組のチャンネルが切り替わり、現在進行中のプロジェクトチームメンバーの死屍累々な光景が思い浮んだ。
近い未来起こる出来事と確定した瞬間だった。
仕事、意地でも終わらせよう。
パートナー企業というより、あくまで傘下企業やグループ企業内だから、鼻先に本社本部の利益をぶら下げれば――多少の無茶無謀も目溢しが効く。
スケジュールをよりハードな物へ切り替えて、チームメンバーが全員屍になれば終わる筈だ。
支援先の参加企業のメンバー含めれば参加者総勢十二人。
錦君と僕の年末の為に、君たち全員死んでくれ。
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