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何のお話をされているのですか

久々で楽しみと言えば、錦だ。 既に確認済の契約書を見ながら海輝は自室の間取りを浮かべる。 カウンター席だと並んで座るから距離は近いが、顔が見れない。 「はい? カウンター?」 「あぁ、マンションの部屋の話さ」 「……あの? 何のお話をされているのですか」 「僕の自宅の話。できれば二十八日までに食卓を何とかしたい」 「……食卓……」 受け答えが鈍い。 錦との年末の為に、能無し率いるプロジェクトチームのスケジュールの調整を重ねリーダーの今田を病院送りにした後、シニアマネージャーの門田に迫りかなりの無茶を強いた。さらに同時進行中の朝比奈側の新規事業立案の支援要請があったから、その結果如月を筆頭に朝比奈側の部下が日夜海輝の元こき使われ、一言で言えば過労死しかけていた。 長距離マラソンコースから、トライアスロンに強引に切り替えたようだと遠まわしに非難されたくらいだ。 ブリーフィングルームは年末に向けて死屍累々になる。 しかし、一応無茶してでも出来る範囲内の仕事は、何とかなる程度の範囲と判断した。 しょぼしょぼと瞬きをする如月の眼は、疲労の所為で充血している。 連日残業と徹夜の繰り返しで、揚げ句に海輝と朝比奈家側の板挟みで駆けずり回っていたのだから、疲れが目立つ。明日は休ませた方が良いだろう。

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