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まさにブラック企業のパワハラ上司の台詞と思考

「朝比奈側の部下の皆様は生きてたかな」 「一応」 「一応?」 「息は有ります」 海輝の代理で資料の受け渡しついでに買い物を頼んでいた蓮城の手には、可愛らしい犬とコーヒー豆のロゴが書かれた紙袋がぶら下がっている。 ホテルの部屋だからコーヒー位は置いてあるが、キャラメルフレーバーのコーヒーが無性に飲みたくて頼んでおいた。 蓮城が手提げをテーブルの上に置くと、如月の眼に期待が見え隠れする。 空腹なのだろう。何とも分かりやすく素直な奴だ。 「じゃぁ、大丈夫だね」 如月が「大丈夫なのですかそれは」と突っ込むが、虫の息でも生きてる事には変わりない。まさにブラック企業のパワハラ上司の台詞と思考だ。 「会社の方は?」 「休憩室で虚ろな目をした者と、独り言を言いながらデータ入力をしている者が居た位で後は机にふせて仮眠をとっていました」 「もうすぐ死ぬな」 「使い捨てれば宜しいのでは」 「そういうことを口にしたら駄目だよ」 この男は何を言ってるんだという顔で冷ややかに海輝を見つめる。 「錦君に嫌われちゃうだろ」 海輝は鷹揚に笑い返した。 話は終わりだという風に、紙袋からまだ温かいホットサンドイッチを取り出しコーヒーと共に如月に勧める。トマトソースの香りが食欲をそそる。 頂きますと嬉しそうにコーヒーを口にした如月は直ぐに何とも形容しがたい顔になる。吐き出しそうに頬を膨らませ、何とか飲み下した。

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