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金を積むところから始めるつもりでした

「表情筋死滅してるのにどうやったの?」 「まさか蓮城、暴力を振るったのか?」 「如月君。いくら蓮城君でも一般人にいきなり暴力は振るわないよ。そうだろ?」 如月はぽかんと口を開いて蓮城を見て海輝を見る。 こいつヤベェと言いたげな目だった。 「海輝様の仰る通り頑迷固陋な御仁で交渉が困難を極めたため、言葉で説得するのは無理だと判断し、金を積むことに切り替えました。しかし、札束を投げて見せても難しく小切手を投げつけるが拒否されたので、暗証番号付きでカードを投げましたら『金で職人のプライドを買えると思うな』と怒られました」 「余計怒らせてるじゃないか。大体投げるとか最悪だ。海輝様、一般人相手に彼を派遣するなど無謀です」 「まぁ、如月君落ち着きなさい。お金じゃ動かないから面倒なんだよね。気の短い蓮城君にしてはよく頑張った」 「随分と甘くないですか?」 「いや、君。蓮城君にしては気が長い方だよ。三分以内に色よい返事がなければ、相手が誰であろうが捩じ伏せるくらい平気でする蓮城君がだよ? お金を積んで交渉しようとするなんて偉いじゃないか」 「……」 「うん、話しを続けてくれ」 馬鹿にしてるのか褒めてるのか微妙なラインだが、すぐに実力行使をする彼にしては辛抱した方だろう。 最後まで聞かなくても続きは分かり切っていた。 これで錦の顔を見ながら食事が楽しめる。

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