しかし、と海輝は思う。 もしも１Kや１DKだったなら、錦が何処に居ても目が届く。 更に、狭い部屋を選んでいたらぴったりとくっついて過ごせたのに。 六畳一間とか。いや、四畳なら錦と常に密着できる。 そんな夢見がちな事を考えたわけだが、日数的に物件を探し引っ越するのは流石に無理だった。 大体寝室には錦の写真が大量に飾られている。 二人で過ごすワンルームに錦の写真が沢山飾られていたら錦本人が落ち着かないだろうし、絶対怒るはずだ。最悪帰宅したら段ボールに全て詰め込まれている可能性がある。 ―ー不足は無いかと考えるが現状がベストだと思い至った。 恋人に会えるので浮かれているのが自分でもわかる。 あれやこれやと考えながら廊下を速足で進んでいると、今日から復帰した能無し上司と腰巾着に遭遇した。