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ひゃっはぁあああ シャルウィダーンス
「あぁ、君! ちょっと良いかね。話があるんだが」
今田だ。新調した鬘を付けてご機嫌で手を上げる。
手刀を打ち込まれた程度では、新年まで長期入院とまではいかなかった様だ。山田とその後ろに川野もいる。
「君救急車呼んでくれたんだって? 有難う」
救急車を呼ばなくてはならない原因を作ったのが、目の前の海輝であると気付かない事に温い笑みを浮かべる。
「忘年会は残念だったけど新年会があるだろう? そっちに出てきてほしいんだけど。取引先の娘さんが君と是非会いたいと言ってるんだ」
「いそのぉおお」
耳目も憚らず廊下でほざくので、もうコイツ半殺しにしたいと笑う。
忘年会出席を勘違いした周囲が広めた噂の数々。
鎮静化してるのに、また此奴は要らない燃料とかをするつもりか。
「野球しようぜぇええええ」
謎の台詞を吐き足を踏み出し壁に向かい勢いよく飛び、二歩目で壁を蹴り今田にフライング・クロス・チョップを食らわせ、三歩目で着地したと同時に「足が滑ったーっ」と今田の背後に居た山田の股間を右足で蹴り上げ、そのまま「ひゃっはぁあああ シャルウィダーンス」っと笑い半回転しながら川野にもついでに回し蹴りを食らわせておいた。
その節は如何も。
良くも錦君との逢瀬を邪魔しようとしたなこの野郎。
かなり手加減をしたが、面白いほどにすっ飛ぶ。
気分は、色々ムカついたから磯野に八つ当たりする中島君だ。
首を捩じったまま廊下に倒れて白目を剥く三人を確認し海輝は満足し、一人キメ顔で笑みさらりと前髪を払う。
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