「アディオス！　良い夢を！」 勝利の笑みを浮かべスキップする。 キメ顔が誰目線かは不明だ。 恐らく脳内錦と家で待つ現実の錦に対してだ。 交信した脳内錦が「早く帰ろう」と急かす。 もう、錦君ったら。急かさないでくれ。悪い子だな。 「来世では会話のキャッチボールをしようぜ磯野君」 これで、邪魔者はいなくなった。 目撃者は居たわけだが気にする事ではない。 「お疲れさ……って、えええええ？　何この状況」 「ちょ、おまっ、何やってんのぉお！！」 「朝比奈さんんん！？」 「救急車よろしく頼むよ」 先日解散した元プロジェクトチームのメンバーの生き残りが叫ぶが知ったことではない。 他は海輝の無茶な段取りで死んだ。 有難う皆。 適当に煽り褒めちぎり飴と鞭を駆使すれば笑顔で死んでくれた。 だから、ここで躓くわけにはいかないのだ。 錦君、今から帰るね！ ニコニコ笑顔で海輝は一階フロントを通り過ぎた。