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死角なしの愛らしさだ。
「冷蔵庫にビールが有ったが、飲むなら用意するけどどうする? 明日も仕事なら飲まない方が良いのだろうか」
もうこれは、嫁だ。
夫を労わる妻の台詞だ。何という良妻。
美人で可愛くて海輝のことが大好きで、こうして手料理まで振る舞ってくれる。
堪らない。貞操観念がガッチガチに硬いのに、海輝の前では緩くなるのも可愛い。
僕の妻最高。海輝はすでに愛妻家気取りだった。
酒を断り血走った眼で錦を凝視した。
三百六十度どの角度から見ても美しい。
死角なしの愛らしさだ。
「それよりご飯有難う。凄い美味しそうだね。此処まで上手とは知らなかった」
ようやく絞り出せた言葉に、錦が得意げな顔を見せる。
「この日の為に練習した。お前に出来て俺に出来ない事は無いはずだ」
「レンジ爆発させていたくせに。――なぁに?」
拗ねるかと思ったが、錦は穏やかに笑む。
中々拝めない大人の笑みだった。
「――なんか、様子が変だったが、何時もの調子に戻ったな」
こいつ、まさか僕を殺す気か。
可愛さに限界は無いのか。
寧ろ限界突破し続けて記録を更新し続けているのだが。
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