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キュートアグレッションからの防衛だ

「ほぎゃ? 赤ん坊の真似か? 大丈夫なのかお前」 椅子に腰かけた錦が慌てて立ち上がる。 はぁはぁ、うおおおおおっと雄たけびを上げ、海輝は上着を左右に開き乱暴に床に投げつけ、目を見開く錦に構わずワイシャツも左右に引き裂く。 釦が弾けて、だらしなくネクタイがぶら下がる。 「何だっ!? 発作か? お前薬は?」 「おぎゃあああああああ」 更に、伸縮性のあるアンダーシャツの胸元を掴み思いきり引き裂いた。 見た目だけなら世紀末状態である。 ビリビリと布が裂ける音と、はじけ飛ぶ釦に錦は思わず海輝に飛びつく。 「止せ止めろ落ち着け! 塩、塩でも撒くか?」 「落ち着いてる! 僕は冷静だ」 「いや、落ち着いてないだろ? 何故服を裂くんだ!?」 「キュートアグレッションからの防衛だ」 「意味が分からないぞ。しかし、会話が成立したと言う事は、精神状態は安定しつつあるのか? とりあえず服を着ろ」 身を挺し海輝を止めようとした錦だが、海輝からすれば半裸状態の自分に抱き着いてきたも同然なのだ。 好きな子が、素肌を晒す己に飛びついて来たら興奮するのが男だ。 「にっ、錦君!!!」 「!?」 気が付けば錦を抱きしめて、両手で尻を鷲掴みにしていた。

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