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そんな目で見ても可愛いだけだ。

沈黙する錦に海輝は「君は最高だね素晴らしい」と味噌汁を啜る。 「美味しい!」 「謝れ」 「錦君を独り占めして御免なさい世界の人達。反省する事なんてないけど、料理が上手で賢くて性格も面白い超絶美麗な錦君の心を奪ってしまいソーリーソーリー」 「……」 錦と向かい合って座る海輝は上半身ネクタイだけと言う最悪な姿だが、やたら爽やかな笑顔が美しい。それが微妙に腹正しく錦に思われているのだが、些末な事だ。 「変態め」 「美味しい美味しいご飯美味しい。錦君の作ってくれたご飯美味しい」 毒を吐かれてもどこ吹く風だ。 錦は憮然とした面持ちで箸を動かす。 「幸せ」 「服きろ」 「服着る時間も惜しんで錦君の側に居たいの」 「馬鹿じゃないのか」 「それぐらい君が可愛いの」 「阿呆じゃないのか」 「大好き」 錦が言葉を失くす。みるみる頬が赤くなるのが初々しい。 探る様にじとりと見つめ返す眼に海輝はニコニコ笑う。 そんな目で見ても可愛いだけだ。 泣き顔と不機嫌な顔は不細工と言われがちだが、錦はどんな顔をしていても美しい。さすが錦だ。

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