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「ストレス? 別に無いよ。あればソイツ埋めれば良いだけの話だし」
「慌てて食べなくても良い。ゆっくり噛んで食べろ」
「んふふふふ」
薄茶に染まった断面を見せる卵も味が沁み込んでいて美味しい。
感情のふり幅が大きくなるのは錦に関わる事だけだ。
それが幸せだと感じた。機嫌よく食事をする海輝とは逆に錦は悩まし気に眉を顰める。
何というか更に色気が増した。
「お前の奇行は仕事のストレスなのだろうか」
寧ろ周囲に多大なストレスを与えているのだが、どれ程有害物質的な男か知らない錦は心配そうに窺ってくる。まさに天使。
「ストレス? 別に無いよ。あればソイツ埋めれば良いだけの話だし」
何なら燃やしても良いぐらいだ。
「埋めるな。埋めたら駄目だろう。それは解決した事にはならない」
「錦君の顔を久々に見れてちょっと興奮しちゃったんだ」
「ちょっとだと?」
散々錦の尻を撫でまわし気が済んだのか平手打ちを喰らい目が覚めたのか、海輝はようやく平静になれた。兎に角危なかったのだ。
もう少しで、錦に噛みつくところだった。
そうなれば、海輝は死ぬ程後悔するところだったが錦の尻の感触と愛の平手打ちにより目が覚めた。さすが錦だ。救済の尻と平手打ちの持ち主。
大罪を犯す前に救ってくれるとは正にメシア。
頬にくっきりと手形を付けながらも、海輝は嬉しそうに食事を続ける。
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