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グッドモーニング、我が最高の人生。
十二月二十九日。快晴。
天気予報によれば最高気温は十一.三度で最低気温は二.三度らしい。
寒かろうと暑かろうと海輝は比較的朝はスッキリと起きれる。
それに、今日は特別なのだ。錦が居る。
錦がいるとなれば適当な朝食など用意できない。
だから何時もより一時間早起きをした。
普段はこんがり焼いたトーストにジャムか蜂蜜を塗り(現在のお気に入りは林檎バターだ)ミルクの入るコーヒーのみ。気分でゆで卵付だ。
料理は好きなので、炊事は苦痛ではない。しかし社会人になるとどうしても学生時代と違うサイクルで生活するので、家事が適当になっているのが現状だ。
その筆頭が食事、特に朝食だった。
腹さえ満たせれば問題ないので、シリアルで食事を済ませる事に抵抗は無い。一週間同じ菓子パンを平気で食べ続けられるし、ジャンクフードも大好きだ。カフェや喫茶店で済ませる事も多い。
つまり料理も美味しい食べ物も大好きだが、食に対しそこまで強い拘りは無いのだ。
しかし、今は錦が居る。
だから、適当なもので済ませると言う選択は無い。
和食が良いだろう。
そんな事を考え朝を迎えたら、昨日と同じく割烹着姿の錦が食事の準備をしていた。
昨夜同様に、髪の毛がサラサラすぎて三角巾から零れ落ちているのが可愛い。
今日も宇宙一可愛い嫁がいる。
朝起きた時、誰かの気配がある事に喜びと幸せを感じるのは初めてだ。
くすぐったくて温かな気持ちを抱き海輝は恍惚と息を吐く。
グッドモーニング、我が最高の人生。
心が洗われる麗しの錦の姿に――両手で顔を覆い天を仰げば頬に一筋涙が落ちる。
天窓などないのに光が差し込み、謎の神聖さがそこにはあった。
何となく最後の審判の壁画に居そうなイメージである。
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