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純正ハッピーセットな存在

カサゴの餌は錦が用意してくれた朝食を楽しんでからだ。 錦と結婚したら毎日こんな風に温かな空気で食卓を囲めるのか。 そんな幸せな将来を夢想しながら、ダイニングテーブルに移動すれば既に小鉢や焼き物が並んでいる。 切り干し大根の煮物、小松菜の胡麻和えの小鉢と、ふっくらと焼き上がった鮭の隣には大根おろしと卵焼きが並ぶ。 海輝は小さく歓声を上げると錦が得意げな顔を見せる。 やる事なす事が可愛い。 「朝ごはん有難う。凄い美味しそうだ」 炊き上がった白米と、味噌汁の良い香りに昨日の夕飯を思い出す。 とても美味しかった。 極上の味だと褒めたら錦は大袈裟だと呆れたが、本心だ。 目の前の朝食も間違いなく美味しいだろう。 料理上手な妻の食事を楽しみに帰宅を急ぐ世の夫の気持ちが良く分かった。 料理上手と愛妻と言う最強コンビに勝てる男がいるだろうか。 居ない。 まさか料理が大の苦手だった錦に胃袋を完全に掴まれる日が来るとは。 過去を振り返り、こんな朝を迎える未来を誰が想像できた。 海輝は熱くなる目頭を押さえる。 生きていてよかった。 美人で可愛くて優しくて海輝のことが大好き面白くて料理も上手で語りつくせない魅力を詰め込んだ、海輝にとって純正ハッピーセットな存在こそが錦だ。

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