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細やかな幸せを見つけられる事は安価な幸福ではない。
「海輝の口にあって良かった」
「錦君の作るご飯が僕の口に合わないわけないじゃないか――あぁ! 高野豆腐が最後の一つに」
最後の一つを箸で取りかけるが辞める。とっておこう。
きぬさや、人参、椎茸を味わい、箸を鰤の西京焼きに伸ばす。
「凄い美味しい。あぁんっ幸せぇ。お味噌汁も鰤も美味しいぃ。鰤の脂甘くて良い西京焼き美味しい西京焼きうんまあ」
もはや美味しいとしか言えなくなった。
「食事をして心から幸せと思える事は、世界一幸せな人間だと言う証拠だな。心が豊かなんだ」
日常の中で細やかな幸せを見つけられる事は安価な幸福ではない。
それこそが幸福になれる条件である豊かな感性の持ち主だと錦は淡く笑む。
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